2025年1月、毎日天気予報では日本海側の激しい雨風、一方太平洋側では雨がほとんど降らずに、暖かい陽気が続いています。暖かければ作物の成長が早いと思いきや、発芽時期の夏の日差しは異常に厳しく成長を妨げ、定植後は雨が降らず、今年は野菜全体での成長の遅れがみられます。
今年は昨年からの猛暑、虫の被害によって全国的にみかんの不作傾向にあり、小田原の生産者のみかんも、個人への販売を泣く泣く取りやめにせざるを得ない状況となりました。
そんな中、今年も婦人部のみかんジャムづくりが行われ、今年も無事に販売開始となりました。ジョイマダムのみかんジャムは規格外のみかんを使い、皮まで手作業で刻んで使うことによって、香りを豊かに仕上げています。
「やっぱりあのジャムはそのまま舐めてもおいしいのがいいのよ!」
と言うのは婦人部長の石井文子さん。
お話を聞いたこの日は翌日の寒餅つきに向けて、自宅裏の水道でもち米を洗っているところでした。

農家になって
私の出身は神奈川県の真鶴町で、真鶴町はどちらかといえば海が近い分、漁業が盛んです。新聞屋の娘として生まれ、大人になってからはOLとして働きに出て、専業農家に嫁いだので、当然農業の経験は全くありませんでしたし、一方で世間で言われているような「農家の嫁は大変!」という苦労はありませんでした。
というのも、本格的に農業をはじめたのは子育てが終わってからなので、農業について「何もわからない」という状態でした。
柑橘栽培メインのうちでしたが、前社長の長谷川代表に出会って、ジョイファーム小田原の創業前からお付き合いをはじめて、徐々に梅・キウイ・玉ねぎなどの栽培品目を増やしていきました。現在の品目は、年間休む間がなくバランスよく仕事ができるようにしています。
今年はミカンナガタマムシの発生のせいでだいぶみかんの木も枯れてしまったし、何か所もあったみかんを貯蔵する小屋も空きばかり。
カメムシがつくと収穫前のみかんが落ちるというのは聞いていたのですが、今年はじめて見ました。今年は見た目が綺麗なみかんでも、皮をむくとすかすかの実で黒ずんでいることがあったり、食べてもまずかったりして。
選果の際に単純に浮き皮のみかんなのか、それともカメムシが吸ったから浮き皮のようになっているのかが見分けられなくて、一時は浮き皮恐怖症になったくらいです。生産者も選果を頑張ってます!
いつまでも働ける農業っていいね!
最近、あと何年働けるだろうって思うことを実感しています。例えば70歳なら90歳まであと20年、みたいな逆算をするようになってきたんです。
40歳や50歳の時って全くそんなこと考えていなかったのですけど。自分の周りにいる70歳、80歳の農家さんは、みんな本当に元気で仕事をやっているんです。
農業は年間の作業を頭の中で組み立てていかなきゃいけない上に、1年スパンで何をする時期なのか思い出して計画をしていかなきゃいけない。考えることが多いのです。
自分がOL時代にしていた仕事とは異なり、「決まった仕事だけをしていればお給料がもらえる」ではなくて、農家は1つの商売を各家庭でしなければ、お金が入ってこないし続かない。知識・技術・環境・会計どれ1つ欠けてもうまく回っていかない。結構大変なんですよ。
でも、農業はずっと働いていられる仕事だから、「農業ができていいね!」という気持ちがあってもいいと思うんです。80歳で何かを作って稼げる仕事はそうそう見つからないですよ。
やるべきことがその人にあって、その対価としてお金をもらって、いくつになってもできる仕事があるって素晴らしいことですね。
先日女性生産者の交流会に行ってきました。農業をやっている人っていつまでも元気ですね!
若い子ももっと交流会に出てくればいいのにと思います。こういう交流会では年齢は違えど飲むし、歌うし、おとなしい人もいるけれど、全然職種の違う人もいるから新鮮な話も聞けるいい機会です。
他の産地の話を聞くと、興味深い話がきけるし、農家のお嫁さんのあるある話がきけて、たいへん面白いです。
ジョイファーム小田原の婦人部
私とジョイファーム小田原との大きな関わりとしては今は婦人部長をしていますが、実は婦人部も2年ごとに部長が変わっていて、メンバーが1周しちゃっていて…とりあえず復活部長やってます(笑)でも来年度は新しい方がやってくれるので一安心!
先日は婦人部で集まってみかんジャムづくりをした際に、若手の奥さんも出席してくれました。でも、新年会とか交流会などの飲食関連は時間がとれなくて欠席する人が多いですね。
婦人部の活動で一大イベントはオニオン祭のカレー調理ですね!
ここ数年間はコロナの影響でオニオン祭そのものもお休みでしたし、復活した年も飲食は自粛して玉ねぎの収穫をメインにしていましたが、やっと女性生産者が集まってお話をしながらのにぎやかなカレー作りが戻ってきました。
自分が婦人部長にならないとわからなかったのは、当日のお天気の心配ですね。中止になってしまうと集めた食材も使えなくなってしまうので、いい天気になることを祈っています。気持ちはてるてる坊主です。
元気の秘密
最近、ジョイファームの皆さんが、仕事終わりの夜にヨガをしているんと聞いて参加させてもらいました。農業に関わる人ばかりが集まったヨガだから、話がおもしろいです!
普通は2時間なら2時間しっかりヨガをやると思うけど、ヨガ半分、喋るの半分(笑)
毎回ヨガをはじめる前に、先生が体の調子はどうか聞いてくれますが、「今日は右肩に張りがあって…」って話から突き詰めていくと、作業道具の電動鋏を右側に下げたホルダーにしまっていたから、右が張っているんだねって話になり、みんなの話が農家あるあるだから原因が分かると納得しちゃう。
農家がその時期に使う筋肉(例えば剪定をしていた手とか、立ち仕事をしていたから足とか)に効くポーズも教えてくれるんです。
それと裸足でやるので、かかとケアが真剣になりました。
いつもガサガサだったので、今年はクリームをいっぱいぬって、効果がありました!
いくつになっても肌のお手入れは大事です。
「縁」というものを感じています

何をやってもすごくて心身ともにお世話になっている人から、ある日突然「用のない人に用があるんだよ」って言われたことがありました。いきなり言われたからはじめは意味が分からなくて、でもだんだんと、はじめは用がないと思っていた人でも後々お世話になったり、巡り巡って一緒に仕事をしたりすることもあるってことだって気が付きました。
不思議と、些細なことで出会って、いただいた名刺を持って帰ると思わぬところで出会ったりすることがあります。
はじめてあったときに「この人付き合いにくいな~」とか「私にあわないな~」って人、いませんか?そういう人って付き合っていくと自分の強い味方になってくれたり、初回の印象と全く違って長く付き合うようになったりすることがあるんです。
苦手な印象を持っても、縁を大事にして、一旦自分の中に入れていけばいいと思うけれど、まず出会わなければ何もおこらない!
この事を最近よく考える様になりました。
そうそう、この間、婦人部の新年会で笑っちゃったのが、ある日テレビを見ていたら「60歳の老婆が…」って放送されていて、60歳が老婆!?って思っちゃったって話が盛り上がって、皆口々に私のこと!?やだ、私もじゃない!って笑い合っているんです。
人によっては、「私は老婆なんかじゃない…」って暗くなるかもしれないけれど、生産者は本当に明るいから話が最後に笑いで終われるんです。
どんなことも最後に笑って終われることが大事!
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そう言っていつもの晴れやかな笑顔を見せてくださった文子さん。
「ハウスみかんの跡地をそのままにしておくのはもったいないから、賛同者を募ってバナナやマンゴーを栽培したら楽しそう!」とまた楽しい提案をしてくれました。
