5月から出荷がスタートするカラマンダリンはミカン科ミカン属で別名カラオレンジ、カラとも呼ばれます。
温州みかんとキングマンダリンを交配し、1951年に生まれた国産のマンダリンです。果皮も果肉も濃い橙色をしており、みかんとは異なり、種が比較的多い品種で、味は濃厚でジューシー、酸味がすくなく甘味が少なく皮がむきやすいのでみかんのように食べることができます。
カラマンダリンの栽培は青島みかんに栽培方法が似ており、青島みかんの栽培が盛んな小田原ではその栽培技術が活かしやすい品種と言えます。
石橋支部の矢郷さんご夫婦も9~10種類の柑橘を栽培しており、2反の畑では最近ネーブルからカラマンダリンに切り替え、まだ若木ですが今年もたくさんの収穫が期待されます。
矢郷さんは皆さんに安心して食べてもらえるようなカラマンダリンを!と農薬の使用を0にして栽培に取り組み3年目、長年の柑橘づくりの技術によって病気・病害虫もなく育て上げました。
味も濃くておいしい、人気もあり順調のように思えるカラマンダリン。
しかし現在、石橋で起きている様々な問題を矢郷勝代さんが教えてくれました。
現在、石橋地区には後継者が少なく、収穫が間に合わず困っている生産者がいれば仲間同士助け合って収獲期を乗り切っている状態だと言います。
しかし同じ地区では栽培をしている柑橘の種類が同じであることが多く、忙しい時期が重なってしまい、人手が足りません。
かつては外から人を雇い収穫を行っていましたが、みかんの全盛期が過ぎてから家族で収穫できる量の生産へと変わっていった為です。
鳥よけ対策としては果実に袋(ネット)をかけ、収穫まで大切に守ってあげています。
イノシシは夜のうちに対策用のネットの下に穴を掘って畑の中に侵入し実を食い荒らすという頭のよさ。通常、昼間には姿を消しているそうですが、矢郷さんご夫婦が昼間に作業をしているすぐ横を通りすぎることもあるそうです。
遭遇した場合、襲っては来ないんですか?と聞くと、目を合わせずに背を向けず速やかにその場を離れれば大丈夫、と勝代さん。う~ん、恐ろしい!
最近はシカも出没しているそうで、後継者不足によって各地の山、森が荒廃し、獣が生活圏を変化させていることがうかがえます。
若手の生産者が今すぐに増えてもその技術の習得には時間がかかり、同時に経験やその土地柄を理解することもおいしい作物を作る上で非常に重要です。年輪のように濃い経験を語り継ぐことができる、頼れる先輩農家さんが全国的に高齢化し、どこも待ったなしの状態で、石橋も例外ではありません。
10年後、20年後を想像した時に、私たちの食卓に日本の農産物は何品使われているのか、農業はどうなっているのか、山や森の荒廃がさらにすすんだ場合、山の生きものは私達の暮らしにどのような影響を与えるのか、是非一緒に考えていきましょう。