4月上旬から甘夏の出荷がはじまります!
甘夏は夏みかんの枝先で突然変異による「枝変わり」によってできた品種で、名の由来は夏みかんゆずりの「夏」と、夏みかんより糖度が高く「甘」いと言われることから甘夏とつけられました。
名前通り、酸味は少なく、甘みが強い柑橘ですのでそままで食べるのがイチオシです。
しつこい甘さではないのでサラダやマリネなどの野菜との相性も抜群で、さわやかな甘酸っぱい上品な香りは夏の訪れを感じさせ、自然と心がわくわくしてきます。
このさわやかな酸っぱさは甘夏に含まれる「クエン酸」からきており、だるさや疲れを回復する効果が期待できます。
食物繊維も含まれており整腸作用もあるので、これからの時期、お弁当に旬の甘夏を添えてみてはいかがでしょうか?
「今レモンの収穫で忙しいんだよ~」と言いながら、米神支部の広石さんが甘夏について話してくれました。
今年の甘夏は出荷をしている生産者によって違いはあるけれどうちは収量が去年よりは少ないね。というのも去年夏に台風がきた影響でカイヨウ病が甘夏にも発生している。通常はあまり甘夏には発生しないんだけれどね。
2月の暖かさで成熟はよくすすんだよ。
うちでは父の代から甘夏を栽培していて、当時父は他の生産者に対して先生みたいに甘夏の剪定の講習なんかもしていてね、そんな父の背中をみながら技術を学び、小田原がみかん全盛期の前から甘夏を栽培していたんだよ。
もともと甘夏は九州の柑橘で小田原では生産が盛んではなかったけれど、1960年に小田原のみかんの全盛期が訪れたころ世間は高度成長期が始まり、企業の宴会の場として熱海の人気が高まり、通り道である米神にはみかんを購入する観光客が多く訪れたんだ。それでもっとみかん農家は珍しい柑橘を作ろうということで晩柑類の栽培が急速に広まったんだ。
私以外にも甘夏生産者はいるけど、外観が悪いと買い手がつきにくく生産に手間がかかるのでこのままでは縮小傾向になってしまう。
いいのか悪いのか、近年の温暖化によってバレンシアやネーブルなどの、本来は日本の気候には適していなかったはずの柑橘の出来栄えもよくなってきているね。
バレンシアやネーブルのようにジューシーさが売りで需要がある柑橘は、生産の効率性の面でもこれから生産量が伸びてくるだろうね。でも甘夏も生産も効率性が上がれば作り手が増えるんじゃないかな?
皮まで使える甘夏は出荷基準をしっかりと守り、防腐剤は使っていないよ。安心して丸ごと食べてください!
小田原には箱根連山に連なる山地、酒匂川流域の足柄平野、丹沢山塊から続く 丘陵地帯があり、南部は黒潮の流れる相模湾に面しているため、気温は温暖で年平均16度前後と暖かく、降雨量も平均年間2,000mmほど。
九州では1月に収穫し、出荷する4月まで長く貯蔵をしますが、
「温暖な小田原では積算温度に達しやすくぎりぎりまで樹上で完熟させることができるんだ。適切な時期に収穫をすれば、貯蔵は必要ないくらい酸味が抜け甘さがのるんだ」と広石さん。
生産者が自分の住んでいる地の気候、風土、歴史全てを知っているからこそ栽培できる柑橘なのですね。
旬の甘夏のおすすめの食べ方
これからの時期、気温が上昇しなんだか疲れが…というときに役立つ夏バテ防止メニューをご紹介します!
「甘夏とにんじんのラぺ」
細切りにしたにんじんとうす皮をとった甘夏をボールに入れ、砂糖、バルサミコ酢、オリーブオイル、塩、黒コショウで味をととのえ和えて仕上げます。
クルミや干しぶどうを入れてもおいしいですよ。
しっかり食べて、元気に夏を乗り切りましょう♪