平田淳(ひらた じゅん)
生活と農業を一緒に作っていく。日々の暮らしの中にある農業!
10月(2019年)で2年間の研修を終え、いよいよ11月から独立。新規就農者としての生活がスタート。2年前、長谷川農園の研修募集記事の中にあった「体は大変だけど、仕事の後に充実感がある。」という一言に心が惹かれたんです。研修を終えてみた今、確かに「そうだな~」と実感しています。
研修を始めたきっかけは、特に大きなことがあったわけじゃないんです。いろいろなところで働き、「これじゃないな~」「これも違うな~」と消去法で違うと思うものを除いていって、そうしているうちに「何か自分でやりたい」、でも飲食業じゃないし~、 自然が好き!だったら農業かな~?っていう具合に流れていったかんじです。
実際に農業を体験してみると、めちゃくちゃ楽しい、「これだ!!」と思いましたね。小田原っていう土地柄も良かったんじゃないかな。自分は神奈川県の綾瀬出身なんですけど、就農を考えたときは藤沢に住んでいたんです。小田原はそこから通えたし、長野県や山梨県へ行くんだと結構ハードルが高くなるので。
2年間の研修の間にいろいろ変わったことや気付いたことはあるけど、研修に入る前と後でのギャップは特にないな。研修まえにいろいろ想像してなかったし。
変わったことといえば、まず自分の体つきかな。職業によって体つきが違うでしょ?その最たるものはお相撲さんですよね。今の自分の体は、まさに“農業仕様”です。そして生活習慣も随分変わりました。研修の最初の頃は、家に帰って夕飯を食べたら即寝でした。作業中は夢中で気が付かなかったんですが、かなり疲れていたんでしょうね。今でも比較的早く寝ちゃいます。
そして、ちょっと大げさかもしれないけど、「生命(いのち)のとらえ方」が変わりましたね。畑には結構蜂の巣があって、仕事をしているとさされることがよくあるんですけど、嫌だな~と思う反面、「蜂も必死に生きているんだな~」なんて思っちゃうんです。
長谷川農園での2年間の研修は有意義だったけど、“その時の自分のリズムを大切にしたい”という性格だから、独立して就農するのが向いていると思ったんです。これから自分でいろいろ計画を立ててやっていきたいし、自分のやり方も確立したいと思っています。自分の責任において全てが行えるので、不安というよりは、楽しみかな。
まずは梅畑をメインにやっていこうと思っています。作業が楽しかったし、梅の実ってかわいくて、なんだか愛着が湧いたんですよ。梅の木の剪定なんて、熟練した人を見ると“かっこいいな~!自分もああなりたいな~”って思っちゃうんです。それに妻が梅シロップを作ったりするのが大好きなので、一緒に楽しめると思うんです。下曽我は梅で有名なんだけど、高齢で梅畑を続けられないという農家さんも多くて、畑が比較的借りやすいのも一因ですね。
独立後は、空き家だった農家さんの家に引っ越します。農業と生活は切り離せないと思うし、極端に言うと、日々の暮らしの中に農業があると思っているんです。年配の農家さんの多くは「農業は大変だよ~」「自分の息子には勧められないね」なんていうんですけど、それは労力に対しての見返りである収益が上がらないってことだと思うんです。でも自分は農業で暮らしていけると思うし、きちんとできている人もいるでしょ。ようは農業に面白さが見出せるかが問題なんじゃないかな。周りがどう考えるかとかではなく、自分がどう感じるかが大切なので、自分の感性を大切にしていきたいです。
もう一つ、実は自分は映画監督志望だったので、
いつか農業に関するドキュメンタリー映画を撮影したいな。
リトル・フォレスト(2014年・2015年放映)の農業版、
「農業でこういう風に生きていますよ~!」っていうのを
映像で表現できたら最高だな。